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目黒区「実践めぐろ創業塾」で会計の基礎知識を担当しました

2026/07/26

新着情報

目黒区「実践めぐろ創業塾」で会計の基礎知識を担当しました

収支計画表の作り方と、収支トントンの売上の求め方を解説

2026年7月25日(土)、目黒区が主催する「実践めぐろ創業塾(2026年春季)」において、第3単元-2「会計の基礎知識1 <利益を出すこと>」の講師を務めました。

前年の2025年春季では第1単元-3「販路開拓」を担当しており、2年続けて講師を務めました。

なぜ収支計画なのか

創業前は、売上や費用について分からないことが多く、どうしても感覚で計画を立ててしまいがちです。しかし事業は、続けられなければ意味がありません。続けるためには、お金が残る構造になっているかを、始める前に確認しておく必要があります。

この講義のゴールは2つに絞りました。収支計画表を使って売上から利益を計算できるようになること。そして、事業を続けていくために必要な売上を計算できるようになることです。

目黒区の創業計画書には「4. 収支計画」の欄があります。講義ではこの実際の様式を使いました。埋め方が分かれば、そのまま創業計画書が進みます。

収支計画表とは何か、何の役に立つのか

収支計画とは、事業で入ってくるお金、出ていくお金、残るお金を事前に把握するための計画です。旅行の予算を立てるのと同じで、先に見通しを立てておく、という話から入りました。

収支計画表の基本は「売上 − 費用 = 利益」です。ただし利益は2段階で確認します。商品・サービスを売るために直接かかるお金を引いて残る売上総利益と、すべての費用を引いたあとに最後に残る利益です。

作るメリットは3つ挙げました。お金が残るかを事前に確認できること。事業を続けるために必要な売上が分かること。そして、金融機関や協力者に説明しやすくなることです。

売上高の予測は「分解」して考える

創業前は実績がないため、売上高は予測するしかありません。ここでお伝えしたのが「分解して考える」という方法です。

架空のハンバーガー店を例に、3人の予測を比べました。「1日5万円くらいかな」という人。「1日20人で1人2千円使ってくれるはず」という人。「15席あって1日2回転、1人2千円で26日営業」という人。同じ売上を出すのでも、分解するほど精度が上がります。

よく使うのは「客数 × 客単価 × 利用回数」です。業種によって分解の仕方が変わることも整理しました。店舗中心の販売業なら「来店客数 × 客単価 × 営業日数」、ECサイトなら「サイト集客数 × コンバージョン率 × 客単価」、設備が売上に直結する業種なら「単価 × 設備の生産能力 × 設備数 × 稼働日数」という形です。

売上原価と売上総利益で、事業の特徴をつかむ

売上原価は、売上をつくるために直接かかり、売れるほど増えていくお金です。飲食業なら食材費、小売業なら仕入代、サービス業なら外注費というように、業種で中身が変わります。

売上高から売上原価を引いたものが売上総利益(粗利)で、商品・サービスそのものの稼ぐ力を表します。講義では実在する上場企業2社の決算を並べ、化粧品メーカーと食品スーパーでは粗利の残り方が大きく違うことを見ていただきました。

自分の事業が、売上原価が大きい事業なのか、売上総利益が残りやすい事業なのか。その特徴によって、力を入れるべき方向が変わります。

続いて販売管理費です。家賃のように売上がなくてもかかるお金は固定費と呼ばれます。ここまで引いて最後に残るのが利益で、この利益から借入金の返済、自分の生活費、将来の投資をまかなうことになります。

事業を続けるために必要な売上

講義の中心はここです。まず収支トントンの売上、つまり利益がちょうど0円になる売上を求めます。計算は4ステップで、難しい数式は使いません。

① 1個売っていくら残るか(1,000円 − 500円 = 500円) ② 毎月かかるお金はいくらか(販売管理費 200,000円) ③ 何個売れば費用を払えるか(200,000円 ÷ 500円 = 400個) ④ 販売数に単価をかける(400個 × 1,000円 = 400,000円)

商品1個あたりで考える方法と、お客様1人あたりの客単価で考える方法の両方を示しました。飲食店や小売店では、客単価で考えるほうが実態に合うことが多いためです。

次に、利益を見込んだ売上です。考え方は同じで、毎月かかる費用に「残したい利益」を足すだけです。固定費200,000円に残したい利益300,000円を足して500,000円。これを1個あたりの残り500円で割ると1,000個。単価をかけて1,000,000円が必要な売上、という具合です。

数字が合わないときにどこを見るか

計画を立てて、必要な売上が現実的でないと分かることがあります。そのときの見直しの視点を4つ示しました。売上原価が高すぎないか。家賃や人件費などの固定的な支払いが多すぎないか。もっと売る方法はないか。価格を上げられないか。

最後の点は、前年に担当した販路開拓の講義ともつながる部分です。価値を伝え、価格が高くても選ばれる理由をつくる。ここができると、収支計画の見え方が変わります。

参考として、自分の計画が業種の相場から外れていないかを確かめる方法に、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」を紹介しました。また、売上予測の裏付けに使える無料の商圏分析ツールとして、e-Stat と RESAS も案内しました。

言語化、数値化、記録

締めくくりにお話ししたのは、この3つです。なんとなく始めるのではなく、収支計画表を作って、自分の事業を数字で見える形にしておく。そうすれば、実際の結果と比べながら、何を見直すべきかが分かります。売上原価が高いのか、販売管理費が大きいのか、価格が低いのか、販売数が足りないのか。どこに課題があるかを特定できれば、次の一手が見えてきます。

経営者の方へ ── 明日からできる3つのこと

1. 自分の売上を、掛け算の形に分解してみる。客数 × 客単価 × 利用回数。どの数字を動かせるかが見えてきます。

2. 収支トントンの売上を計算する。1個(または1人)売っていくら残るか、毎月いくらかかるか。この2つだけで出せます。

3. 自社の粗利率を、同業の目安と比べる。高すぎないか低すぎないかを知るだけで、打ち手の方向が変わります。

ご相談について

TYO診断士事務所では、収支計画の作成、価格や原価の見直し、収益構造の改善をご支援しています。「利益が残らない」「値上げすべきか判断できない」「創業計画書の数字が埋まらない」といったご相談を承っています。創業塾・セミナーの講師のご依頼も受け付けております。